はじめに
現地時間で2024年5月2日よりPCTことパシフィック・クレスト・トレイルのスルーハイクを開始しました。
ちなみに私、英語はろくに話せませんし、海外旅行も今回が初めてです。
そんな人間が果たして一人で2,650miles(4,265km)を無事に踏破できるのか!?では行ってみましょう!
移動日(4月30日)
Jetstarで福岡空港から成田空港へ移動し、エア・カナダで成田空港からバンクーバー空港経由でサンディエゴ空港へ向かう。
成田空港を日本時間の4/30 16:55に出発し、サンディエゴ空港に現地時間の4/30 16:27に到着予定だ。
前日にオンラインで搭乗便のチェックインとArriveCANアプリでの渡航情報を送信済み。
エア・カナダの窓口は成田国際ターミナル1の南3階。
端末で荷物預入のシールと搭乗券を発行して「D」にあるエア・カナダの自動荷物預入システムで荷物を預ける。この際、係の人にパスポートと搭乗券を確認され、成田からの搭乗券のみを使用して預け入れるよう指示された。それが終わったら保安検査と出国審査(パスポートをかざすだけ)へ。
搭乗券に搭乗券のzone番号が書かれているので時間が近付いたらzoneの列に並ぶ。
1時間ぐらい飛行機内で待たされ、やっと離陸。
初めての国際便だが無事出発できて良かった…。
搭乗前に飲み物を買ったが、夕食と朝飯の度に240mlのペットボトルとドリンクが注文できるので飲み物を事前に買う必要は無かった。
夕食には蕎麦、朝食には焼きうどんと食事には日本食が含まれていた。
バンクーバー空港到着。カナダ内でアメリカへの入国審査となるためアメリカ国旗の方へ向かう。
Eゲートまで進んでパスポート、航空券を提示して保安検査。靴も脱ぐ必要があると事前に調べておいたのでサンダルで行くのは止めておいて正解だった。
一部の人が万歳して全身をスキャンする装置に入っていたが、私は該当せず普通にゲートを通過するのみ。どうやら全身スキャンの該当者は航空券に書いてあるらしい。
保安検査を通過したら最大の山場である入国審査!
私より前に並んでいたのは10人もおらず入国審査の窓口も4つぐらいあったので順番が来るのは直ぐだった。
ターミネーターのT-1000にそっくりな審査官に指で合図されたので向かう。まずはメガネ外して顔写真を撮影。パスポートを渡して審査開始。
質問内容と回答はだいたい以下の通り。
・Where are you going?(どこへ行くの?)
⇒San Diego.(サンディエゴです。)
・Why?(なんで?)
⇒I’m here to hike the Pacific Crest Trail.(PCTを歩くためです。)
・How long will you be staying?(どれぐらい滞在するの?)
⇒ About 5 months.(約5ヶ月です。)
・Are you traveling alone?(一人旅か?)
⇒Yes. Alone.(はい、一人です。)
・What are your travel plans?(どういう計画か?)
⇒Craig’s PCT Plannerの行程表(概要)を見せる。
・What do you do?(仕事は何をやっているので?)
⇒I’m self-employed.Freelance IT engineer.(自営業でフリーランスのITエンジニアをやっています。)
・How much money do you have?(お金はいくら持ってる?)
⇒7 hundred dollars and 3 credit cards.(700ドルとクレカ3枚です。)
・Do you have friends or family in the U.S.?(友達や家族はアメリカにいる?)
⇒No.(いません。)
最初の質問はWhat’s the purpose〜で目的を聞いてくるだろうと思っていたが、どこに行くの?と聞かれて頭が真っ白にw
よくよく考えたらバンクーバー空港からアメリカの各地へ行けて審査官もこちらがどこへ行くかは把握していないので、アメリカのどこへ行くのかという質問はカナダでの入国審査では想定できる質問ではあった。
無事通過してバンクーバー空港からサンディエゴ空港行きの飛行機へ乗り換え、無事到着。荷物受取のベルトコンベアにザックの紐が挟まり中々外れず周りから哀れみの声や視線を感じるアクシデントがあったが何とか辿り着けた。
サンディエゴ空港に到着後は歩いてホテルに向かう。
気候としては日差しはきついが日本のように湿度が高くないので不快感は無い。
空港近くの公園には普通にリスがいて日本との違いを思い知らされる。
個性的なトイレットペーパーの折り方をしたモーテル(Howard Johnson by Wyndham San Diego Sea World)に到着。近くにスーパーマーケットのSprouts Farmers MarketやTargetがあるので食料や薬を買い出し。
入国審査で限界値まで緊張したせいか、アメリカに入ってからは全然緊張しなくなり周りの動きなどを観察しながら普通に買い物ができた。TargetにOD缶が置いてあるか探してみたが発見できず。Big 5 Sporting Goodsとかなら置いてあるのかも。
レジ袋は有料でしかも貧弱な事が多いようなのでエコバッグを購入。その後の食料の買い出しで大いに役に立っているのでこの時買ったのは正解だった。
スタート日前日(5月1日)
準備編③に書いた「PCT Southern Terminus Shuttle」に乗るため、サンディエゴ発祥の地Old Townまで歩く。集合時刻の午後2時まで時間があるので観光。
シャトルバス乗車。同乗者は運転手を除いて6人が集まった。その後トレイルエンジェル宅で2人拾い、計8名に。アウトドアショップREIへ向かいOD缶を購入。この先の入手先が不明なので大きめのジェットボイル:JETPOWER230gを購入した。
郵便局は希望者がいなかったため寄らず、スーパーマーケット(Campo Green Store and Deli)で水やビール、お菓子を購入。キャンプ場に向かう前に南端(サザン・ターミナス)で記念撮影のため降ろされた。
その後キャンプ場のCLEEFへ歩いて戻り18時から宿泊者全員が集まりキャンプファイヤートークという低体温症や渡渉の注意点、ヒッチハイクの仕方などレクチャーがあった。(殆ど英語が理解できないので何となくそんな感じの話をしていたな程度の理解度。)
名前は忘れてしまったがオーストラリアから姉弟で歩きに来た2人のお姉さんの方が私の拙い英語でも話を聞いてくれて、翌朝も話し掛けてくれたりと非常に感謝している。宿泊者は20人近く居たが私の歩くペースが速すぎて3日目以降は誰とも会っていない…
1日日(5月2日)|0→15.4miles
6時頃に起床し、朝食のパンケーキやバナナ、メロンを食べた。出発前に寄せ書きを見ていると日本の国旗を発見!
何と74歳で私の丁度1ヶ月前にスタートされている!素晴らしい行動力。トレイル上でお会いできたら話を伺いたい。
テントを片付け、8時半頃スタート地点へ。
受付の人がいるのでPCT長距離許可証を提示して、何点か質問(歩行中イヤホンを使用するか?→いいえ 等)に答えてザックに付けるタグを貰う。
受付は朝7時から居るとのこと。
周りは記念撮影や連絡先の交換で盛り上がっている中、私は一人歩き出す。
まず感じたのが暑い。めちゃくちゃ暑い。まさか初日から日傘を使う事になるとは…。
トレイル自体は荒れておらずよく整備されている。基本的になだらかに登り、なだらかに下るのでアップダウンの激しい日本の山に比べると遥かに歩きやすい。
初日は15.4miles(24.7km)地点の水場にテントを張る。周りには数組居て、暗黙のルールとして20時には就寝するようだ。
食事は日本にいた時と変わらず袋麺食って残りの汁にマッシュポテトの粉末を入れて汁を吸わせるスタイル。気分でシーチキン等を入れる。洗うのが面倒なのでクッカーは汚さない。
2日目(5月3日)|15.4→34.3miles
一旦山を下りるとレイク・モリーナのOak Shores Malt Shopでチーズバーガーとドクターペッパーを注文。
飲食店とコンビニが合体したような作りで支払いはコンビニ側で行う。支払うタイミングが分かっておらず危うく無銭飲食になるところだった…。
食事しているとCLEEFで知り合った私のことを「トモダチ」と呼ぶハイカーと合流。食事後See you soon.と別れを告げたが彼と会ったのもこの日が最後。
壮大な景色を眺めながらクソ暑い中進んでいく。
34.3miles(55.2km)地点で就寝。
水の管理や歩くペースが把握できたので翌日から距離を伸ばしていく。
3日目(5月4日)|34.3→63.7miles
昨日まで沢山すれ違ったハイカーをこの日から見なくなる。みんな何処へ消えた?
山を下り、マウント・ラグーナのLaguna Mountain Lodge & Storeにて食料補給。食料品だけでなく燃料や浄水器も売っている優良店。
ここで買ったピリ辛のサラミがお気に入り。カット済みなので使いやすく袋麺やマッシュポテトの味付けに最適。
稜線歩きのため風が強くて歩きにくいが、長距離の稜線歩きは気持ちが良い。
53miles過ぎのクワエイミイー・ポイントでメキシコツノトカゲに出会う。誇張無しに南カリフォルニアでは1日100匹以上のトカゲを見るがメキシコツノトカゲにはここでしか出会えなかった。
63.7miles(102.5km)地点で就寝。
日中は30℃近いが、夜は10℃近くまで冷え込むのでフルレングスのエアマット持ってくれば良かったと後悔している。
周りのハイカーを見てもULに力を入れているハイカーは意外と少数でザックはオスプレーが一番良く見る。
4日目(5月5日)|63.7→91.2miles
まさかの朝から雨。そして強風で中々進めない。
PCTでは強風エリアがちょこちょこ有るのでキャップはPARAPACK等の風に強い物がおすすめ。私のはHUNGERKNOCK ORIGINALSのPANCHING CAP。
強風吹き荒れる中、遠くでは虹が見えた。
山を下りて77miles地点のHighway 78に到着。ここからジュリアンという町へ行くかドライバーから聞かれるがジュリアンって誰!?と何度も聞き返す事態に。英会話は失敗から学んでいく。
ジュリアンには寄らなかったが2 foot Adventuresという有名なアウトドアショップが有る。ここのタイダイ染めフーディを着ているハイカーも多い。
ドライバーとの別れた直後に人生初のトレイルエンジェルに遭遇!
悪天候の為かハイカーは私のみ。雨で濡れて体が冷えていたため着替えたかったが、私が到着するなり椅子の準備やクーラーボックスを開けてくれて準備万端という感じ。
着替えで待たせるのが申し訳なく思い、ガタガタ震えながら冷えたゲータレードを飲むことに。
午前中の雨が嘘だったかのような晴れっぷり。
91.2miles(146.8km)地点のPCTキャンプグランドにてトレイルエンジェルの所で貰ったビール(エア・カナダ機内でも飲める定番のやつ)を飲んで就寝。
山の中だがハイカー向けに大量の水が用意されている。到着時と翌朝に2本ずつ頂き、計4ドルを寄付。
翌朝には空のペットボトルが無くなっていたため定期的に車で運んでいるようだ。意外と儲かってそう…。
5日目(5月6日)|91.2→114.8miles
100マイル達成!だが、まだまだ先は長い。
観光名所のイーグルロックを通過。確かに鷲に見えるぞ!
この辺りは牛が放牧されておりトレイル上にも。
日傘を指して歩いていると驚いて逃げて行ったので傘はしまって歩くことにした。
トレイルの出口では蜜柑の差し入れが吊るしてあった。
ワーナー・スプリングスのWarner Springs Community Resource Centerに到着。
キャンプやシャワー、食事の提供もあるがこの日は3時半以降から利用できるみたいだった。
3時前に到着したが売店で買うのは良いよとの事なのでジュースや水に入れる粉末、パイナップルの香りがすごいボディシート等を購入。
水ばかり飲んでいると流石に飽きてくるので粉末はありがたかった。
まだ元気だったので更に歩いて、114.8miles(184.6km)地点で就寝。
②へつづく