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12日目(5月13日)|257.3→266.1miles
ボールドウィン・レイク近くのHwy 18(266.1miles)を目指して突き進む。
途中、見慣れない植物が生えてるなあと思ったら、これが「ジョシュアツリー」と呼ばれるこの辺一帯のモハーヴェ砂漠のみに生えている木。
Hwy 18に到着。ここで補給のためビッグ・ベアーという町に下りる。徒歩だと町まで2時間半掛かるのでヒッチハイクかUberを予定していたが、ビッグ・ベアーに住んでいるという登山帰りの夫婦が声を掛けてくれて町まで送ってくれることに。
ビッグ・ベアーのモーテル「Motel 6 Big Bear Lake」に到着。
その後、近くのスーパーマーケット「Vons」で爆買い。アメリカのスーパーは広くて見たことがない食べ物や飲み物で溢れているので2時間ほど買い物を楽しんだ。久しぶりに酒も飲めて非常に満足。
「Vons」まではレッドラインという無料バスが走っていたのでこちらを利用した。
ここで初めてアメリカでバスに乗ったので、アメリカでのバスの乗り方を記載しておく。
①バスが近付いてきたら手を挙げて乗る意思表示をする。
②降りる人が全て降りてから乗り込む。
③運賃を支払う。
④降りるときは腰や天井の位置にある紐を引っ張る。
今回は無料バスなので運賃の支払いがないが、支払う場合はお釣りは出ないのでGoogleマップやバス会社の公式サイト等で事前に金額を調べておくと支払いがスムーズ。
運賃箱が機械式の場合は、1ドル以上のお釣りがある場合にお釣り分が記録されたChange Cardというカードを発行してくれるバスもあり、次回乗車時に利用できる。
高速バスの場合は、支払い時に降りる予定の町の名前を伝えておいた方が乗り過ごすリスクを減らせる。(一度やらかして戻るのに苦労した…)
今回泊まったモーテル6というのは、モーテルのチェーン店なのだが、検索候補の上位に「モーテル6 やばい」と出てくる。
その後各地のモーテル6に泊まっているが、全然普通のモーテルなのでご心配なくw
価格も安く基本的には冷蔵庫と電子レンジも部屋に有るので便利。ただしアメニティーは石鹸だけという場合が多い。場所によってはシャンプーやリンスも置いてあったりと地域差があるのが面白い。
ただ最初に困ったのがシャワーの出し方。ノブを回してもお湯が出てこず、受付まで聞きに行くと「Pull!Pull!」と激しい動作と共にノブを強く引っ張れと教えてもらった。
日本では全然見かけないがアメリカのモーテルでは結構ノブを引っ張るタイプの宿が多かった。
実に12日ぶりのシャワーだったので、めちゃくちゃ気持ち良かった。
13日目(5月14日)|266.1→286.6miles
モーテルには一泊のみ宿泊だったので、チェクアウト時刻の11時までだらだら過ごし、その後Uberを利用してHwy 18まで戻った。
一泊だけだと買い物や洗濯で時間が無くなり休んだ気にならないので、以降はチェックイン時刻前に町に下り、買い物や洗濯を先に済ませるようにした。
Hwy 18からは再度山を登り、ビッグ・ベアー・レイクを見下ろす。実に良い眺め。平日の火曜日だというのに多くの一般登山客とすれ違ったので人気の登山ルートのようだ。ご老人達にたくさん話しかけてもらった。
14日目(5月15日)|286.6→317.5miles
地面に書かれた案内に従い今日も進んでいく。
ちょうど2週間目で300マイル地点を通過。
途中、Deep Creek Hot Springs(307.9miles)という天然温泉を通過した。多くのハイカーが湯に浸かっていたが、いわゆる脳食いアメーバの感染リスクがあるため、湖や温泉には入らないと決めている。入る場合は鼻に水が入らないように注意すること。
その先にあるダム Mojave River Forks Damへと続く道は非常に美しくお気に入りの道。
大抵のハイカーは「FarOut」という地図アプリのテント場情報を確認して寝床を決めている訳だが、テント場に到着する時間が遅いと既にハイカーが居てテントが張れない状況が出てくる。この日が正にその日だった。
19時頃まで彷徨い、風は強いが見晴らしの良い場所を見付けて就寝。
15日目(5月16日)|317.5→343.6miles
この日の大半は巨大なシルバーウッド湖を見ながらのハイキング。低山を長時間歩き続けるので物凄く暑い。地獄のような区間だった。
補給地点のケイジョン・パスへ下る道。非常に良い景色だが、町までの下りが飽きるほど長い。
ケイジョン・パス(341.8miles)に到着。
近くのマクドナルドで腹ごしらえ。端末で注文できるので簡単。噂には聞いていたが、写真と全然違うものが出てきて笑った。ドリンクは飲み放題なので元を取ろうと5杯は飲んだ。
食事後はマクドナルド横のガソリンスタンドで食料を補給して更に進む。
途中にあるトンネル内のストリートアート。治安は良くなさそうなので寝床を求めて山の中へ向かう。
線路を横断した直後、列車が来た。
アメリカの貨物列車はとにかく長い!
そして朝だろうが夜だろうが警笛を鳴らしまくるのでうるさい!
16日目(5月17日)|343.6→373.1miles
朝起きたら辺りは霧に包まれていた。
PCTレジスター(347.7miles)を発見。私が見逃していなければスタート地点を過ぎて最初のレジスターである。
箱の中のノートに日付と名前、TN(トレイルネーム)、出身地を記載する。ボールペンのインクが切れていることがあるので自前のボールペンは必須装備。
PCTレジスターを過ぎたら、ぐんぐん標高を上げていき、気が付いたら雲の上に。
標高2,500m位だが、こんな高さでも下からは列車の警笛が聞こえてくるのは面白い。
途中にある水場。キンキンに冷えた雪解け水は最高に美味しい。
スキー場の横を通過したりもする。
17日目(5月18日)|373.1→399.5miles
この日はベーデン=パウエル山(標高2,867m)を目指して登っていく。雪道を歩く事になるため、舗装路で迂回するハイカーもいた。
序盤は雪が無いが、標高が上がるにつれて雪の量が増えていく。準備編③で序盤から軽アイゼンを持ち歩いた方が良いと書いたのはこの山があるため。
山頂付近。本来はつづら折りの道だが、雪で登山道が見えないため急斜面を直登する。
既に雪は柔らかくなっているため踏ん張りが効かず非常に歩きづらくて疲れる。
ベーデン=パウエル山(2865m)を無事登頂。山頂に刺さっているアメリカ国旗の前で記念撮影。
ちなみに山頂はPCTのルートから外れており、本来は山頂手前で曲がる。
一度道路まで下山すると直後にウィリアムソン山方面へ登り直し。なかなかの急斜面である。
登らずに道路でショートカットしているハイカーが見えて羨ましかった…。
間違いなくこの日がこれまでで一番きつかった。
途中トレイルが閉鎖されている所(390.2miles)からは舗装路を歩き、その後ルートに合流。
18日目(5月19日)|399.5→436.1miles
400マイル達成! 少し先にはハイカーによるアート作品も。
途中、花がたくさん咲いている場所もあり癒される。
壮大な景色も疲れを癒してくれる。
20時頃にキャンプ場「North Fork Saddle Picnic Site」に到着。多くのハイカーで賑わっていた。
この日は気が付いたら約59kmも歩いていた。
19日目(5月20日)|436.1→458.5miles
霧の中ガンガン下っていく。5m先までしか見えないのでなかなか怖い。
下りきると Rv Resort が見えてきた。ここではジュースやアイスが買えるみたいだが、この先のアグア・ダルシーという町で食事をしたいためスルー。
下山してトンネルを抜けると…
これまでとは全く異なる岩層が現れる。
ここは「Vasquez Rocks Natural Area」。この土地は「スタートレック」など様々なドラマや映画で使用されているとのこと。
アグア・ダルシーに到着。メキシコ料理店「Maria Bonita Mexican」へ。
人生初のメキシコ料理ということで、事前に調べておいた定番肉料理の「カルネ・アサーダ」を注文。めちゃくちゃ量が多い。アメリカでは残した食事をお持ち帰りができるのは知っているが、料理的に持って帰りづらい…。
頑張って平らげ、無料で提供されたトルティーヤ・チップスも全て食べたため、腹がはち切れそうな状態に。チップ込みで35ドル(5,400円)と日本でも払ったことがない昼食の値段になってしまった。
翌日の昼食まで何も食べられなかったのでそういう意味では割と適正な値段かも…?
この町には Serenity’s Oasis というPCTハイカー向けの補給・宿泊施設があるが、まだ時間が早かったため寄らずにもう少し進んだ。
20日目(5月21日)|458.5→488.2miles
壮大な景色を眺めながら今日も進む。
Leona Divide というトレランレース(50miles)の優勝記録。現在もレースは開催されているが直近数年より30年前のタイムの方が早いのが恐ろしい。
道路まで下り、昼食と補給のためグリーン・バレーという町まで歩いていると他のハイカーを乗せた車が止まってくれ、レストラン「Smokehouse」まで乗せてもらえた。
スマッシュバーガーとルートビアフロートを注文。どちらも最高。
Smokehouse 横のガソリンスタンドで補給するが、多くのハイカーが立ち寄っているためか品揃えは良くなかった。帰りは歩いて戻り、途中のガソリンスタンドにも立ち寄ったがこちらの方が品揃えが良かった。
Smokehouse 横のガソリンスタンドで買ったパイ。チョコレート以外は美味しかった。
箱の中はパイがそのまま入っている。食品添加物が非常に気になる商品だ。
④へつづく